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2011年09月12日(Mon)
「ドラッカーのマネジメント」を学ぶ
「ドラッカーのマネジメント」を学ぶ
~輸送経済新聞「物流塾」連載から⑥~
上野周雄
(株)エイジア 監査役
ドラッカー学会 理事
隠れた顧客を探せ――誰が価値を認めるのか
今回は、ドラッカーの「5つの質問」の三回目として「顧客」について考えてみたい。
「5つの質問」には二つの「顧客」についての問いがある。「われわれの顧客はだれか?」と「顧客にとっての価値は何か?」である。
「われわれの事業は何か」を知ることで事業の目的とミッションが明確に定義できる。そのための第一歩が、「顧客は誰か」を知ることである。
「顧客とは、自社の製品やサービスの価値を認め、それらの対価を払ってくれる人である。
企業が自ら生み出していると考えるものが重要ではない。顧客が買っていると考えるもの、価値と考えるものが重要である」(『現代の経営』)。
「顧客にとっての関心は、自分にとっての価値、欲求、現実である。しかし、ほとんどの事業には二種類の顧客がいる」(『マネジメント』)。
ドラッカーの挙げている例を2つ紹介しよう。①アメリカのカーペット産業は一時衰退の一途をたどっていたが、これが上向きに転換。「顧客は誰か」を検討した結果、顧客は住宅購入者だけではなく、住宅建築業者も顧客であることが分かった。②一九三〇年代の大恐慌の頃、倒産寸前のGMのキャデラック事業部が成長事業へ変身。競争相手が輸送手段ではなくステータスであることに気が付いたからである。競争相手は、ダイヤモンドやミンクのコートだった。
シンプルさが望まれる時も
こんな経験もある。DVDが出る以前、ビデオカセットレコーダー各メーカーは、自社製品を売るべく高画質・高機能競争をしていた。カセットを入れると数秒以内に画像が出るなどの機能にコストを掛け、利益も圧迫。発展途上国では、このとき低コストで非常にシンプルな録画もできない再生専用機が売れていた。これを先進国市場に投入すると、予想以上に売れた。顧客の求めていたものは、機能や画質ではなく、レンタルビデオを観る手段であった。
現実の顧客は誰か、潜在的な顧客は誰か、顧客はどこにいるか、顧客は何を買うのか、顧客にとっての価値は何か、顧客はどのように買うのか。これらを細かく検討すると、顧客が見えてくる。
あなたの顧客は誰か?顧客に対して提供するサービスの価値は何か?対応地域や広さ、輸送量、スピード、品質、特殊輸送、運賃――。
世の中の速く激しい変化に対応するためにも、「この問いは、事業の開始時や危機においてのみ発すべきものではない、事業が成功しているときこそ発し、十分に検討することが必要である」(『現代の経営』)。
(輸送経済新聞 平成23年3月8日 「物流塾」より転載)
投稿者:上野 周雄
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